10年来のサカナクションファンである筆者が、サカナクションのフロントマン山口一郎とはどんな人物なのか、まとめてみました。
作曲哲学
信念
クラブミュージック、文学、フォーク、歌謡性を混ぜ合わせたようなサカナクションの楽曲は、大前提に「アコギで弾き語りができる曲」という信念があります。
山口は幼少期から純文学に傾倒し、その影響から、作詞には強いこだわりがあ理ます。作詞の際は髭を剃る事もせず、携帯の電源も切り、テレビも一切つけない等、深く潜るという表現を山口はよく使用しています。
歌詞を書くため暫く潜っておりましたが、久しぶりに浮上。名だたる文士には到底及ばないが、不器用な自分なりに言葉の宇宙に埋没中です。もう暫しお待ち下さい。 https://t.co/tVaf80ImNN
— 山口 一郎 (@SAKANAICHIRO) 2016年7月6日
葛藤
「アルクアラウンド」や「アイデンティティ」の様なメジャー対応を意識した、わかりやすく高揚感のある曲が売れる一方、「ルーキー」や「グッドバイ」等、自分がいいと思う、好きな曲の売り上げはイマイチという事実に山口は葛藤していたそうです。そんな葛藤の中生まれた曲の代表作は「目が明く藍色」です。
7分程の曲で山口の中でも特別な曲であります。
そう言った葛藤のピークは2010年頃、4thアルバム「kikUUiki」の頃でした。
後述しますが、山口が突発性難聴を発症した頃です。
山口の思考はそこから徐々に「人に受け入れられる音楽を作り、サカナクションを聴いてくれる人を増やす。」「その上で自分が好きな、聴かれるべきと考える音楽を発信する。」という風に変化していきます。
メディア露出
そういった思いから、自ら苦手だと公言していたメディア出演にも積極的に進出する事を、当時ライブのMCで話していました。
「戦略的に苦手なテレビにも頑張って出ますが安心して見守って欲しい、僕達私達サカナクションは変わらないまま変わる」という言葉をよく耳にしました。
その後、「バッハの旋律を夜に聴いたせいです。」でミュージックステーション初出演を果たしました。
本番では生放送に緊張していた様子が伺えました。
出だしは歌唱の音を外し、また歌詞も間違えてしまう等、緊張しているのがテレビ越しにも伝わってきた程でした。
その後、音楽番組だけでなく、王様のブランチやドキュメンタリー番組にも出演し、テレビ露出が増えていきました。
突発性難聴
山口は右耳がほとんど聴こえません。
現在は低音が微かに聞こえる程だそうです。2010年の「kikUUiki」ツアーのライブリハーサル時に発症した突発性難聴のせいです。
病院に行くのが遅れ右耳が聴こえなくなってしまい、未だに治っていません。
当時毎朝「自分の耳鳴りの音が、雨だと思い起きる。」という日々だったと言います。
全く聞こえなかった右耳ですが、ツアーでネプトゥーヌスを演奏中、微かに低音が聴こえる事に気付き、ライブ中に泣いてしまったという出来事がありました。
ラップトップスタイル
サカナクションの代名詞でもあるラップトップスタイルがあります。
5人がステージに横並びになり、ラップトップに向かい、打ち込みで演奏するラップトップスタイルです。
これは山口がルーツの一つとするクラフトワークへのオマージュです。
山口自身も公言しています。
あるフェスで、クラフトワークの出番の直前に演奏する事ができる機会があり、夢の様だと語っていました。
ファッション・アート
メジャーデビュー以降ファッション、アートに関心を持ち始め、ファッション分野では様々なハイブランドを身につけています。
COMME des GARÇONS、UNDERCOVER、LOEWE、J.W.アンダーソン、Maison Margiela、3.1 Phillip Lim、MASAHIROMARUYAMA、ETHOSENS、ANREALAGE等々、
「新宝島」のMVで着用している衣装はETHOSENS、「多分、風邪」で着用している衣装はCOMME des GARÇONSです。
山口の新しいギター、黒のセミアコにはCOMME des GARÇONSのCDGというプレートが付けられています。
またANREALAGEの森永氏とタッグを組み、ANREALAGE初のパリコレ出演時に帯同し、サウンドディレクションを行っています。
楽曲秘話
三日月サンセット
北海道にある山口の実家の自室で作曲した曲。当時はミドルテンポであり、曲が出来た時、当時好きだった「花子ちゃん」に電話で聴かせたそうです。
1stアルバム「GO TO THE FUTURE」の頃は歌詞の書き方が情景描写であり、2ndアルバム「NIGHT FISHING」の頃までよく使っていた手法です。
山口曰く、「話す様に歌う。」を意識していたそうです。MVは魚眼レンズで撮影しています。
壁
山口が精神的に追い込まれており、自殺について考えていた時の曲です。
目が明く藍色
曲が出来た時、メンバーに「これで一生音楽で食って行けるぞ!」と言ったほどに思い入れのある7分程の壮大な曲です。
病院に行くのが遅れ、突発性難聴を発症した頃にできた曲。山口の右耳と引き換えにできたと言っても過言ではありません。
曲のレコーディングは山口の要望で1発録りで行いました。
そのため、6分7〜8秒程の部分で山口のメンバーへの喝、「ここ!!!」という声が入ってしまっています。
バッハの旋律を夜に聴いたせいです
東日本大震災を受けリリースしたシングル。ミュージックステーション初出演時の演奏曲です。
カップリングの「years」とのセットは非常に意味があると山口は語っていました。
シングルのジャケットは当時の山口の自宅の洗濯機の前で撮った写真です。
MVは「BEST VIDEO OF THE YEARを受賞し、テレビCM等でパロディがちらほら見受けられました。
エンドレス
作詞に最も葛藤した曲の一つ。歌詞のバージョンが100近くあり、精神を擦り減らして作詞していました。
山口自身のラジオで「エンドレス」を初めて流した時、感極まってラジオ中泣いてしまった程です。
5thアルバム「Documentary」のリリース前先行視聴パーティ、爆音視聴会にて、この曲がかかった時、山口はステージ場でまたもや涙しました。
山口のこの曲に対する苦悩を知っている当時のファンも、同じく会場で涙する人もおり、山口が涙する男性ファンの元へ駆け寄り、ハグする場面もありました。
爆音視聴会にて山口は毎回大量にカクテルのラムコークを飲んでおり、それを見ていた母親から「飲み過ぎ」と注意を受けた事なども話しています。
ドキュメント
「恋の歌を歌う事」をタブーにしている山口が歌詞の最後で「恋の歌歌ってもいいかなって思い始めてる。」と歌っている事で、何らかの心境の変化を感じさせる曲です。
アルバムの最後の曲で「今までの僕の話は全部嘘さ」というどんでん返しをしているらしいです。
MVは少しゾっとするホラーテイストとなっており、山口の自宅で撮影されています。
ネプトゥーヌス
山口と親交の深い星野源とのUstream配信「サケノサカナ」の中で、ギターセッションで遊んでいた時のコード進行をそのまま使っています。
別の回で山口がこの曲を星野源の前で弾き語った後告白していました。
山口はお菓子が好で、特にグミには目がありません。当時はコーラ餅というグミにハマっており、この放送で紹介したところ、メーカーから自宅に大量にコーラ餅が届いたそうです。
サケノサカナ楽しかった。10万人も観てくれたらしい。ありがとうございました。本当に星野さんと出会えて良かったなぁ。#sakenosakana pic.twitter.com/XQKQRmsl
— 山口 一郎 (@SAKANAICHIRO) 2012年7月24日
夜の踊り子
原曲はゆったりとした弾き語りでした。最後の大サビは元々はなく、「どこへ行こう どこへ行こう ここに居ようとしてる?」というフレーズがサビでした。
しかし、CMソングに使用予定であったため、パンチが足りないと思っていた時に大サビのメロディができたと言います。
山口曰く、大サビのイメージは、スーパーマリオのスターを取った時感。
文学好きな方はタイトルでピンとくると思いますが、タイトル「夜の踊り子」は川端康成の「伊豆の踊り子」のパロディです。
MVも着物の踊り子が伊豆で踊っています。
最近のコメント